一人で海外へ派遣し、 労働時間管理もなく残業代未払いとパワハラ・・・

コンサルタント会社を相手に団体交渉 和解解決

 Aさんは2020年3月、バイト時代を経てBコンサルタント会社に正社員として入社。語学力を買われ、カンボジアでの新規営業所立ち上げに派遣されました。

 コロナ過での海外の事業所立ち上げはとても困難で、その上複数で派遣されるはずが、一人での渡航となり、Aさんは現地での様々なトラブルを本社とのメールによる連絡で解決する毎日。本社からまともなアドバイスがないことも。また、夜中の本社への日報報告など文字通り夜昼なく働き、うつ病を発症しました。

その後、国内の営業所などで勤務してきましたが、パワハラも長時間労働もなくならず、ついにうつ病が悪化し休職を余儀なくされました。病気休職中も、B社の上司からの嫌がらせのような連絡などに思い余って、様々な伝手を辿ってCU三多摩へ相談に来ました。現地で日本人医師の診療を受け、入院をした方が良いとアドバイスを受けるも、会社の都合でかなわず、その上現地採用スタッフとして働かないかと打診され、それを拒否。昨年12月に帰国。

休暇を遡って補償してほしい

 Aさんの相談趣旨は正社員となって以来、海外でも休みが殆ど無く、有給も何日残っているか不明。病気休養中だが何日休めるかも分からず、休暇を補償してほしいというのが最初の訴因でした。

 労働時間の管理がされず、無効な変形労働時間制、残業代未払い、など多くの問題が明らかに

  組合ではAさんの話から、労働時間の管理がされていない変形時間制や休日出勤の賃金が不支給や残業代もきちんと計算されていないことなど多くの問題点を発見。これらを要求として団体交渉を行うことを提案。Aさんと共に第一回の団体交渉に臨みました。

 団体交渉はB社とその代理人C弁護士事務所、Aさんと当組合で行われ、B社のAさんの働きが悪いとの不当な言いがかりに、Aさんが反論。組合でも労働時間の管理がなされていない変形労働制の違法性や海外での安全配慮義務の欠如など問題点を指摘。

 その後、C弁護士事務所との数回の交渉で、退職を前提の解雇予告手当、未払い残業代などの賃金補償と会社都合による退職、傷病手当と労働災害申請への協力などで合意しました。