労働相談ミニ知識 変形労働時間制について②
変形労働時間制は例外としてOK(の続き)
(4)必要な年間休日数
年間の労働日数の上限は280日です。1日8時間労働なら年間2240時間となり、前回2-(3)で示した限度時間(2085.71時間)を大きく超えます。従って、年間休日を以下の表のようにする必要があります。
1日の所定労働時間 (1年356日の場合) | 必要な年間休日数 |
8時間00分 | 105日 |
7時間45分 | 96日 |
7時間30分 | 87日 |
7時間00分 | 85日(労働日280日限度) |
3、就業規則の整備
始業・終業の時刻、休憩時間、休日につては、就業規則へ必ず記載しなければなりません。1年単位の変形労働時間制の導入の際は、労使協定だけではなく、変形期間中の各日の始業・終業時間等を就業規則に定め、労基署への届け出が必要。
4、所定時間外労働
1年変形労働時間制は、あらかじめ業務の繁閑を見込んで労働時間の配分をするもので、恒常的な時間外労働はないことが前提。日常的な残業が生じる運用は「無効」を主張し、原則通りの残業代を請求する場合もある。
5、割増賃金の計算
変形労働期間中の割増賃金の計算は複雑です。相談事例では正しい計算がされていないことがほとんど。
(1)1日の精算
設定された労働時間を超えた分の割増賃金。
(2)1週の精算
週の設定労働時間を超えた分が割増賃金対象。但し、1日単位で支払われた時間は除く。
(3)対象期間の精算
対象期間の総枠を超えた分の精算が必要。ここでも、1日、1週単位で支払われた時間は除く。
(4)対象期間の途中入退社の従業員の精算
勤務した時間を平均して、週40時間を超える時間について割増賃金の計算が必要。