有期雇用契約期間中の解雇はできません!

Bさんは、人材紹介会社の仲介で、今年1月からプラント、産業装置機器の設計開発会社に1年間契約(更新有)として技術者として働き始めました。 ところが3月になって、家庭の事情で長期出張ができないことなど理由に3月末で退職するよう社長から言われました。本人は仕事を続けたいと会社に伝えつつも、家族の病気の介護で会社に迷惑をかけてもいけないとの思いもあり、3月末で退社しました。その後、納得がいかないと組合に相談がありました。労働契約法17条第1項で、有期雇用契約期間中の解雇は、「やむを得ない理由」がなければ解雇できないとしています。「やむを得ない」とは、期間の満了を待たずに解雇を行わなければならないほど、予想外で切迫した事情が必要で、通常の解雇理由では該当しません。
組合は、会社に団体交渉を申し入れ、Bさんの解雇は無効であり、解雇により発生した損害の賠償を要求しました。会社側は、解雇の理由について、長期出張ができない、能力不足、試用期間中などといった理由を並べたてました。しかし、組合側は、そもそも有期雇用期間中の解雇の理由にはならないと主張し、その後会社側は弁護士に解決を委任し、会社の代理人の弁護士との交渉になりました。今回の事例は労働契約法の「やむ得ない理由」にはあたらず組合の主張を変える必要もありませんでした。2回の交渉を経て、最終的には弁護士が会社を説得する形で和解・解決となりました。
使用者は有期契約期間中の解雇は出来ないことを肝に銘ずるべきです。