勤務は8時間、有休賃金は4時間?
Aさんは、B社で2012年以降1年契約1日4時間の雇用契約を更新していました。
しかし、契約を結んだ当初から8時間を超える労働が常態化しており、労働実態を反映して週30時間勤務を要件とする厚生年金や健康保険も加入していました。にも拘らず、雇用契約だけは、1日4時間で反復更新していました。
Aさんが、退職するにあたり有給休暇をまとめて取ったところ、有給休暇の賃金が契約書記載の1日当たり4時間分で支給され、不審に思ったAさんが、かねて知り合いだったCU三多摩の佐藤執行委員に相談し、団体交渉が行われました。
会社側は、契約書に記載された一日当たりの賃金を支払うことは労働基準法で示された方法であり違法性はないと主張。佐藤執行委員をはじめ組合側は、実態として勤務ごとに例外なく8時間以上働いており、会社作成のシフト表でも4時間勤務が示されたことは一度もない。①少なくとも8時間働くことが合意されていたか、または事実たる慣習として成立しているとみるべき。②有給休暇の賃金が通常の半額となることは有給休暇の取得を経済的に抑制することにもなり、③上司がパート職員に対して有給を取ったこと自体を秘密にするよう求めた事実を含めて公序に反する。8時間分を支払うべきだと主張しました。さらに、交渉準備の過程でB社が15分未満の労働時間を日ごとに切り捨てていたこともわかり、1分単位で支払うことなどを求めました。
数回の交渉の結果、組合の有給休暇の賃金8時間分(差額)と未払い賃金相当額を会社側が解決金として支払うことで合意となりました。
今回はAさんが賃金関係など日ごろ会社から配布される資料をしっかり保存していたこと、そして身近に相談できる人がいたことが、声をあげて解決するポイントとなりました。