労働相談より❶

定年後の再雇用(6か月契約)

1回目の契約で不更新・雇止めに

Xさんは、Y不動産管理会社に長年勤務したベテラン社員でした。定年を迎え、Y社に継続雇用を申し出ました。Y社が、6か月の再雇用契約を提示、Xさんはやむを得ないと考え、再雇用契約を結びました。

ところがY社は、不動産オーナーの利益を守ろうとするXさんを問題視し、業務命令に従わなければ処分すると脅し、6か月の再雇用契約を更新せず雇止めにしました。Ⅹさんは、納得できず、組合に相談にきました。

組合は①定年後の再雇用契約の更新拒否は、高齢者雇用安定法違反であり無効。②Ⅹさんは再雇用後に懲戒処分などを受けているわけではなく、不更新の理由がない。③①に加えて、Y社の就業規則は希望すれば65歳まで働けると規定しており、保護されるべき合理的期待があるとして、Y社へ継続雇用を要求し団体交渉を行いました。

第1回の団体交渉は、組合の雇止めは無効という主張に対して、Y社は幹部会で検討し①雇止めを撤回し、契約を更新する。②そのほかの考えがあれば提示してほしいという回答を提示。

組合はこの回答を受けて、Xさんと検討。XさんはこれまでのY社の対応に不信感が強く、復職せず退職するとの意向を示しました。組合は、Y社に対してXさんの継続雇用に代わるものとして、Ⅹさんが働いて得るはずだった賃金相当分を保障することを要求しました。

Y社は、難色を示していましたが、組合の粘り強い折衝を受け入れ、解決できる水準の回答を行いました。これをⅩさんと検討し、妥結しました。