「人を大切にする経営と障がい者雇用」
―第6回執行委員会で学習会―
CU三多摩では7月17日の執行委員会で表記の学習会を行いました。契機となったのは障がい者からの雇用問題での相談が相次いだことです。講師は特定社会保険労務士の北村博昭氏。
北村氏は自身の仕事で見聞きした『人を大切にする経営』をしている会社から障がい者雇用の実態とあるべき姿、相談のあり方について講義しました。
まず、人を大切にする経営理念を掲げた企業が全国で約一割あると報告。それは関係する①社員とその家族②社外社員とその家族③顧客④地域住民、障がい者など社会的弱者⑤株主の「5人の幸福が目的」である。「人」の中には、障がい者も当然含まれているとして、特別支援学校から入社し、定年退職まで働く環境を整えている事例、徹底した合理的配慮により、知的障がい者がその能力を発揮し、健常者と同水準の賃金を得て働いている事例や、健常者の教育係を務めている事例等を紹介した。
次に、障がい者雇用促進法の沿革も示し、民間企業で約47万人余が雇用されており、その平均勤続年数は身体障がい者で10年程度、知的障がい者で8年弱、精神障がい者で4年強と短い。精神障がい者のある新規入職者の約半数は1年以内に退職している実態がある。実態調査結果として、障がい者が働き続けられない理由に職場の人間関係、賃金労働条件への不満、配慮不十分、通勤困難などが挙げられている。事業者には『障がい者の雇用義務』『差別禁止及び合理的配慮提供義務』があるが、十分な配慮を提供できていないことが原因であり、労使トラブル(組合への相談)の原因ともなっていると説明した。
最後に当組合が障がい者雇用問題での相談に当たる際の留意点として、組合員や相談員自身が障がいの内容や特性について十分理解をすることが必要であり、配慮のある丁寧な対応を心がけるべきであると指摘。また、解決をしても本人の苦難は続き、組合員としてのフォローや専門家との連携も必要だと結んだ。