労働審判でたたかいます

―障害者採用の有期雇用労働者への一方的な

「休職命令」「雇止め」は許さないー

発達障害で精神障害者手帳(3級)を保持しているAさんは、Y生命相互会社(以下「会社」)の多摩本社に、昨年(2023年)5月1日に障害者枠で採用されました。

同年7月に高温の地下での作業中にパニック発作を起こし、意識があるものの痙攣状態になりました。また、同月、作業中に同様の症状があっため、人事の責任者は「てんかんだ」と一方的に主張、Aさんに脳外科の診断書の提出を求めました。検査の結果、脳に異常はなく、主治医の診断書も、うつ病によるパニック発作というものでした。この間、会社の責任者は「発達障害だから話が通じない」などの暴言をAさんにあびせています。

さらに、会社の責任者は、産業医と相談した結果だとして、Aさんに「2、3か月休養するように」という休職命令を出しました。しかし、これはAさんと産業医の面談もない、会社の一方的な情報に基づく休職命令でした。結果として、Aさんは今年3月まで、強制的に求職させられました。

主治医は合理的配慮があれば即日復職可能』 

会社は主治医の意見を尊重せず、復職を拒否

主治医の診断書は、『本人は、作業に過集中する場合、高温、高湿度などで過呼吸や気分の落ち込みなどの症状が出現しやすい』として、『作業環境への合理的配慮がのぞましい』というものでした。さらに、2023年9月に提出した診断書では、『障がい者への合理的配慮が整い次第、即日復職が可能』というものでした。

合理的配慮の中身として、『人的配慮とともに、勤務内容の事前に通知、休憩時間の確保や空調、冷房設備の整備などが望ましい』とするもので、きわめて常識的な指摘になっています。この診断書とともに、Aさんは復職願を会社に提出しました。

ところが会社は、10月に「職場で倒れるのはAさんだけ、今以上の合理的配慮はできない、同じ条件で、また発作を起こす懸念がある」などとして、Aさんの復職願を拒否。「傷病欠勤満了後の出勤は就業規則により認められず、来年4月末で雇用期限満了になる」という通知をAさんに出しました。主治医の診断書に「反論」、雇止めが前提のような通知でした。

この時も産業医とAさんの面談は一切なく、会社の人事責任者の一方的な判断としか言えないものでした。

2024年3月 産業医と面談 4月 復職をはたすが、半月後に雇止め通告

今年3月に会社から「復職並びに雇用契約期間の終了」という通知を受けて、Aさんは、あらためて復職願と主治医の復職可能、産業医との面談の要請の診断書を提出、産業医の面談を受けて、4月より復職しました。ところが、会社は、復職と契約更新は別と称して、復職からわずか半月後に、雇止め通告を行いました。

会社と団体交渉、雇止めは決定済みと組合と本人の申し出を拒否

Aさんはこの雇止め通告に納得できないとCUに相談、組合に加入し、会社と5月、7月、8月の3回の団体交渉を行ってきました。

組合は、団体交渉で①Aさんへの休職命令は主治医の意見も無視しており違法で無効、②雇止めは、障害者雇用促進法に反するもので許されないなどを指摘し、雇止めを見直すよう求めました。

これに対して、会社は、「休職命令も雇止めも本人への安全配慮のためだ」との主張に終始。その上、Aさんは仕事のミスがあると、障がいのある労働者への雇止め理由とは思えないことも付け加えました。

 

東京地裁に労働審判を申し立て

Aさんは最後までたたかう決意を明らかに

Aさんと組合は、あくまでも団体交渉での解決をめざそうと、雇止めの撤回がダメなら、金銭での和解を求めましたが、会社はこれも拒否。

Aさんと組合は顧問の八王子合同法律事務所の弁護士と相談し、2024年9月30日に東京地裁立川支部へ労働審判の申し立てを行い、同じ日に厚生荘労働省での記者会見(次の写真)を行いました。(記者会見の模様はリンクをクリックしてください

Aさんは、「私は、障がいの関係で高温や過集中の作業では、パニック発作を起こすかもしれない。しかし、仕事が好きだし、一緒に働く仲間も好きです。有無を言わせず職場から排除されることに納得がいきません。同じような扱いを受けて泣き寝入りをする仲間をこれ以上ださないためにも、最後まで闘いたい。」と決意を明らかにしています。