労働相談から

パワハラと降格と解雇通告と闘って

 Aさんは事務機器のリース販売を行っているB社に正社員として、11年9カ月働きました。

 2023年3月頃から給与での出来高報酬部分の計算が違うと社長に伝えましたが改善されず、その後、他の役員も交えて話し合いましたが、社長は「文句ばかりで、いらねー。会社辞めろ」と怒鳴り、他の役員が間に入るも話がまとまらない状況が生じていました。

 昨年5月、次長から課長に降格されました。その頃から体調を壊し、体重が急激に減少。大腸ポリープも発症しました。そのため毎週1~2日休むようになると、さらに社長の態度が硬化。同時に体調不良で営業成績が下がると更に課長心得に降格されました。

 そして、11月24日に解雇通告が出されました。解雇理由は「販売額が少なく、休みも多く、やる気がないと判断した。社員に悪い影響を与えている。」というもので、全く解雇理由に相当しないものでした。

 相談は解雇について、労働契約法16条「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして、無効とする」に相当する解雇権乱用と判断しました。さらに、所定の売り上げに達しなかった場合に罰金を取られていたことは労基法24条の「賃金全額払いの規定」違反であり、降格についても降格理由が不明として団体交渉を申し入れました。

 しかし、団体交渉で突然、Aさんに不正行為があったと相手側弁護士が主張しました。それは社内の営業社員3人が契約に結び付けるために仮払いを受けて、購入した商品を転売し、その売り上げを横領していたというものでした。

 これは税務調査によって判明したものですが、Aさんはそんなことはしていないと主張。そして、仮払いは利益が多い取引で行い、契約困難な事案に対して仮払いによって購入した商品を回すことで契約に結び付ける行為であり、社長もよく知っている販売手法であると主張。商品の納入先は仮払いを受けた契約先ではなく、契約条件が厳しい取引を成約に結びつけるための物であり、新たに成約に結びつけた取引先が納入先であると主張しました。

しかし、B社側は仮払いの伝票を切った取引先には商品が納入されていないことを確認しているので、不正行為だと主張。

そのようなやり取りを含め交渉を続けましたが、B社から突然合意書に税務調査で新たな追徴課税が生じた際の損害賠償義務を明記することを合意条件にしてきました。そのため交渉は一時膠着状況に入りましたが、何度か電話や文書でのやりとりの後、再度団体交渉を行いました。

二度目の交渉の中で、組合としては損害賠償義務を入れることは不正を認めることになるので合意できないと主張。これについて、B社側が第3項で「本件行為の存在を双方で確認するものではないことを相互に確認する。」の文章を入れることで、合意することが出来、金銭解決となりました。

 

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