直近の法令の改正について
2024年3月10日の執行委員会で、4月1日1日から施行される労働者募集に関する法改正についてレクチャーを受けました。以下を紹介します。講師は北村博昭(特定社会保険労務士)さん
1、24年4月以降の労働者募集に関すること
①労働契約時などに置ける明示すべき労働条件追加の法改正が施行される(次表)
表中*の無期転換ルールとは同一の使用者との間で、有期雇用契約が通算5年を超える時は、労働者の申し込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換する制度です。
②就業場所・業務の変更の範囲
「雇い入れ直後」のものと「変更の範囲」を求人広告に記載する。しかし、正社員の場合、「募集等の時点で具体的に想定されていないものを含める必要はない。」とされています。
③有期労働契約の通算契約期間または更新回数の上限の有無と内容
有期労働契約を締結する場合、「有期労働契約を更新する場合の基準に関する事項」(通算契約期間または更新回数の上限を含む)も明示しなければなりません。
通算契約期間とは、同一使用者との間で締結された2以上の有期契約の契約期間(労契法18条1項)です。厚生労働者はその例として、「更新回数は3回まで」「通算4年を限度とする」などを示しています。
2、4月から事業者による障がいのある人への合理的配慮の提供が義務化
合理的配慮とは事務・事業の目的・内容・機能に照らして、以下の3つを満たすものであるとされています。
①必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること。
②障がい者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること。
③事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないこと。
具体的には、障がいのある人と事業者等との建設的対話を通じて、相互理解を深め、共に対案を検討することとしています。建設的対話を一方的に拒むことは合理的配慮の義務違反に問われることも。募集・採用においても同様です。
3、労働時間の上限規制(略)
建設業やトラック運転者の労働時間の基準が改正されます。
4、短時間労働に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大
今年の10月から、厚生年金保険の被保険者
が51人以上の企業等で働く短時間労働者の社会保険加入が義務化されます。 加入対象の要件①週20時間以上②賃金が月額8万円以上32カ月を超える雇用の見込み④学生でないことです。
以上の他、厚生労働省は雇用保険適用「週10時間以上」へ拡大を図る計画です。 以上
レクチャーをうけての感想
有期雇用労働者の無期転換権は、有期雇用がまかり通り、不安定就労が拡大している今日、就労環境を少しでも改善させる策として、2013年の労働法改正で導入されました。
有期雇用でしか働けなかった労働者が無期転換権を行使し、安心して働き続けるために多くの労働者が行使してきました。
今回の法改正は、無期転換権を阻害するもので、企業に有利な条件を募集時に明示することで無期転換権を初めから生じさせないようにすることではないでしょうか。
厚労省が例示している、更新は3回までとか、通算は4年までとするなどの例示は正にそれです。労働法制が経営者側に有利に改悪されることを見過ごしてはならないと痛感しました。
(福田)