(1)私たちをめぐる情勢について

1)経済・政治の状況

日本の賃金は、大手企業の春闘回答では5~6%台のベースアップがあったとされていますが、ここ2年に及ぶ物価高に追いつかない賃金水準であり、中小企業の従事者や非正規雇用にはベアすらほとんどありません。失われた30年が固定的に継続する世界的にも異常な事態にあります。1~3月期のGDP(国内総生産)は前期比0.2減、年率換算で0.7%の減少、大きなウェイトを占める個人消費は0.04%増にとどまっていることも要因ですが、日本経済に改善の兆しは見えません。物価高騰の影響で消費が鈍っています。

加えてアメリカが「トランプ関税」をするなど世界経済は混乱、米国主導の大国主義の問題でもあります。これが日本経済に及ぼす影響は甚大であり、中小製造業者などへのしわ寄せやインフレ悪化、雇用状況の低下が危惧されます。

貧困化を表すエンゲル係数がアベノミクス導入後に増加を続け、先進国のなかでも突出しています。円安で輸入食品が上がり、賃金は抑制、不安定雇用労働者が増え、消費税率が上がった時期でもあります。そこに主食であるコメの2倍にも跳ね上がった高騰が追い打ちをかけています。政府が備蓄米を緊急に随意契約で業者に売り渡し、流通させましたが不安定・不十分な供給の解消には至っていません。輸入米の拡大も狙っており、食糧主権をも侵す事態です。そもそも農林水産予算が1980年度の約3・58兆円から、25年度の2・27兆円にまで約3分の2に削減されています。約40年間、農業予算は減り続けています。農業従事者もほぼ半減しています。減反政策を改めコメの増産、農業・農民を持続的に支援することが迫られています。

24年の全国出生数は70万人を下回り、過去最低を更新しています。出生数が減少するのは9年連続で、1899年に統計を取り始めて以降、70万人を下回るのは初めてのこと。出生数はすべての都道府県で減少しています。少子化に歯止めがかからない危機的な状況にあります。青年が安心して暮らせ、子育てしやすい環境の整備、働き方の抜本的な改善が求められています。

日本は米のアジア太平洋戦略に組み込まれ、軍事強化と基地・司令の日米一体化による危険性が強まり、増大する防衛費が国民生活関連予算を圧迫しています。農林水産予算が削減続けた40年間で軍事費は2.23兆円から8.7兆円にまで、4倍近くに膨れ上がっています。

政府自民党は改憲路線引き継ぎ、岸田首相・敵基地攻撃能力の保有に加え、石破首相は「緊急事態条項緊急事態と自衛隊の明記を最優先する。(憲法を)果断に見直す」と改憲に踏み込む態度です。学問と言論の自由を侵し日本学術会議の独立性、自主性、自律性を奪う「解体法案」が学術会議の会員たちの反対も押し切り強行可決されました。

アメリカによるイラン攻撃、核施設空爆は断じて許されません。「国際的な平和と安全に対する直接的な脅威だ」とグテレス国連事務総長が声明を発表しています。被爆国日本政府はアメリカ加担ではなく、外交による和平構築と核兵器廃絶への最大の力を発揮することが求められています。

そうした中、2024年のノーベル平和賞に日本被団協が選ばれました。被爆者の立場から核兵器廃絶を訴えてきた日本原水爆被害者団体協議会の受賞は、核兵器のない世界を実現するための努力と核兵器が二度と使用されてはならないことを証言によって示してきたことが受賞理由となっており、68年間にわたり、被爆者の立場から核兵器廃絶を世界に訴える活動や被爆者の援護を国に求める運動を続けてきた、「草の根の運動で核兵器ない世界実現のために努力」によるものです。

7月20日投票で参議院選挙が行われました。諸物価高騰などによる国民各層の生活の困窮、賃金が上がらないなどの経済の停滞、金権政治による政治の腐敗など「自民党政治を終わらせよう!」という国民の声の中での選挙でした。

結果は、与党である自民が13議席減、公明が6議席減で、今回の与党の当選者が47議席、過半数に必要な50議席に届かず衆院につづいて参院でも少数与党になりました。32の1人区でも野党系だけで考えると17勝、野党系候補者一本化で考えると12勝と前回より大幅に増えています。これは、「市民と野党の共同・共闘」の発展の成果でもあります。

今回の参院選では、今までになく無所属も含めて多数の政党・団体が立候補しました。そして、与党の議席が減った分は、国民民主党や参政党が大幅に議席を増やす結果となり、新たな政治状況が生まれました。それは、参政党による外国人を敵視し排外主義を煽る選挙活動です。参政党は、「日本人ファースト」を掲げ、人権感覚もない明治憲法下のような発言、基本的人権を無視、日本国憲法を軽視しています。

私達は、こうした極右的潮流を注視し、戦後日本国憲法の下で培ってきた基本的人権や民主主義・平和が脅かされないように、憲法を守る運動を一層の奮闘が求められています。また、組合として要求実現の立場から、ニュース等での投票行動を訴えました。

 

2)労働者をめぐる状況

賃金をめぐってはボーナス支給時以外の実質賃金はずっと前年比マイナスです。24年度一年間の実質賃金はマイナス0.5%、3年連続での前年比減少です。今年4月分の毎月勤労統計調査(速報)では、物価の影響を考慮した働き手一人あたりの「実質賃金」は前年同月より1.8%減り、4カ月連続の前年比マイナスが続いています。

非正規労働者の増加、細切れ・スキマ契約が広がり、外注化・アウトソーシングといった請負労働も進行しています。雇用の劣化が蔓延しています。こういう時こそ労働法での規制がますます重要ですが、厚労省は労働基準法を改悪、特に労働時間規制を骨抜きにしようとしています。大幅な労基法改悪への突破口開く労使間の協調による規制緩和・デロゲーション(法の逸脱)の目論見は、労働側や法曹界の反対世論が広がり、表現や時期などを一定の後退をさせていますが、諦めたわけではなく、8月には中間まとめが出される予定で、来年にも本格審議に移されようとしています。

そうした中、日産自動車の経営不振を理由とした計2万人の大規模リストラ、パナソニックホールディングスは黒字でも国内外1万人規模の人員削減を打ち出しました。大企業の身勝手さは、直接の雇用だけでなく下請け企業の経営と雇用にも影響します。一方では「人手不足倒産」「後継者難の廃業」が増えています。需要はあっても人材育成が十分にできずに事業が続かない問題は深刻です。長期間続いて来た労働者の使い捨て、権利の侵害が労働市場に禍根をもたらしています。これらの防止には、とくに中小企業への対策は重要です。公正公平な取引のための指導や監視、使い勝手のよい助成金や有利な融資制度の拡充、講習研修など、政府や自治体が本腰になって取り組むべき課題です。そのことで雇用環境も向上します。 

25春闘の到達では、連合の春季生活闘争「中間まとめ」では、2年連続で定昇込み5%台の賃上げが実現しています。定昇除く賃上げ分は過年度物価上昇率を上回った集計です。一方、全労連など国民春闘共闘の5月19日集計で、有額回答を得た組合での単純平均(一組合あたりの平均)は、8603円3.19%、加重平均(組合員一人あたりの平均)は 7,909 円・2.76%でした。国民春闘には医療・介護の組合が多く、医療・介護分野での厳しさが反映しています。診療報酬など法定価格が抑えられていることに要因があります。

今年の最賃改定をめぐる動向では、中小企業が多く入っている日本商工会議所が4月に「中小企業の動向を踏まえて検討するべきだ」との要望書をまとめ、最賃引き上げ議論にけん制する態度を表明しています。日本弁護士連合会も4月に声明を発表。「フルタイム労働者賃金の時間換算額は大きく1500円を超えている」「物価動向を踏まえ、昨年実施された引き上げ額(全国加重平均1055円)は低すぎる」と指摘、中小企業の社会保険料の負担軽減も提言しています。現在、中央最低賃金審議会からの各県地方審議会に目安額が出されるとみられていますが、最大の焦点は物価高騰を上回り、生活できる時給1500円への実現の道です。

6年前に、東京はじめ多くの地域で取り組んだ最低生計費調査をコロナ後において、デジタル化の生活様式の変化と物価高騰を反映して補強する調査が始まっています。この6年で昼食費が大きく上がっていること、情報・通信関係の利用拡大、ネット通販の普及などを考慮した検討をしており、6月下旬に結果発表されました。先行した他県調査では6年前調査を大きく超えて、1800円の時給がなければ人間らしい生活はできないとの結果が出ています。

10月には改定額が施行されますが、物価の高騰が続く中、東京春闘は労働者の生活実態や持ち物を調査して、1カ月の最低生計費を再試算しました。その結果、「最低生計費の見直し、時給2000円は必要」と訴えています。

政府や石破首相は産業別特定最賃の検討を打ち出しはじめ、介護分野では地域最賃より高めに設定する考え方を示しています。中央最賃審議会の目安額を上回る答申を出した都道府県に対し、補助金・交付金を活用して最賃引き上げを支援する見解も出されています。与党内では中小企業の社会保険料負担を軽減する意見も出ています。これらの動きは、最賃引き上げの世論と運動の反映ですが、政府の経済財政諮問会議が6月6日にまとめた「骨太の方針」原案では「実質で1%程度の賃金上昇を定着させる方針」を打ち出したものの、政策は中小企業への支援など従来路線の踏襲が目立ち、まだ具体的な道筋までは描けていない、と報じられています。

日本では少子高齢化による深刻な労働力不足を背景に、外国人労働者を受け入れる企業が増えています。また、60歳以上の高齢者就業者の増加や非正規での女性の労働者集も増加しています。こうした職場環境の変化の中、「外国人労働者が日本人の雇用の場を奪っている」「高齢者や非正規を優遇しすぎている」など労働者間の分断や排外的な主張が強まりつつあります。労働者間の分断や排外は労働者の働く環境をますます悪化させる事につながります。今こそ働く仲間の連帯と団結を強める事こそが重要となっています。

また、日本における男女格差(ジェンダーギャップ)は、世界経済フォーラムの25年版報告では昨年同様に148カ国中118位、先進7か国で最下位です。女性の賃金は正規雇用の比較において男性の78%、非正規雇用も含めると56%でしかありません。

東京の公契約条例(公的機関が発注・委託する民間業者の労賃を規制し底上げする条例)の制定は大きく前進しています。17自治体に広がり、特別区では15区と、多数派です。さらに東村山市、立川市、府中市で制定への検討委員会を設置。豊島区、板橋区でも前向きな調査・検討がづけられています。これは全国屈指の実施状況です。公共関係で働く賃金が底上げされることで民間にも波及し、全体の相場形成に影響が及びます。都内自治体の広がりを受けて東京都が条例を制定するか、今度の都議選での争点の一つとなりました

労働組合の組織率低迷は続いています。全国平均では16%、東京は民間大企業本社が多いことから約25%ですが、多くの非正規労働者や中小企業従事者の組織率は一ケタ台と見られています。そうした中、コミュニティユニオン東京・三多摩地域本部の前進が求められています。 

3)都議会議員選挙の結果

都民要求をかなえる都議選挙は6月22日投票でした。第1党の自民党は、都議会議員の裏金問題、政府の物価対策無策などが影響して過去最低の21議席。都民ファーストの会は31議席で第1党となりました。公明党は3人が落選19人に。「知事与党」で、3党あわせた獲得議席は議員定数の過半数を上回りました。立憲民主党は前回の選挙より2議席増やして17議席。共産党は5議席減らして14議席になりました。これまで議席がなかった国民民主党は9議席、参政党は3議席を獲得しました。東京・生活者ネットワークは前回と同じ1議席を獲得しました。1議席だった日本維新の会は議席を失いました。石丸伸二氏が代表を務める再生の道は42人が立候補しましたが、議席の獲得はなりませんでした。

 

4)24春闘の高水準回答も非正規への波及はわずか、中小は価格転嫁が進まず

30年ぶりの高い水準での24春闘回答と報じられていますが、企業別、規模別、業種によって到達に大きな差がみられます。大企業は組合の要求を上回る5%台の回答を早々と表明、事実上、春闘前に決着をつけて組合の存在が薄くなる状況が生まれました。中小企業への波及が焦点となりましたが、一部にとどまり、帝国データバンクによると賃上げ率5%未満は67%、3%は22%、「中小企業は価格転嫁が難しいために賃上げは抑制的な傾向」としています。

「非正規春闘」は2年目の実施。⾮正規雇⽤の⼈たちを⽀援する全国18の労働組合で作る「⾮正規春闘」実⾏委員会の発表では、今年の春闘で120社 に対して10%以上の賃上げなどを求め 59社から賃上げ回答がありましたが、45%は「ゼロ回答」でした。平均すると3%から4%程度。スーパー⼤⼿の「ベイシア」ではパート従業員が平均4.31%、アルバイトが平均5.41%の賃上げ回答を得ています。

中小企業の賃上げ率は、日本商工会議所会員の平均で3.62%となったとのこと。日商小林会頭は「価格転嫁の運動は道半ばだ」と、大企業からの低単価、受注競争の問題を指摘しています。

いま、9割以上の勤労者が就労している中小企業において、「人手不足倒産」、「後継者難倒産」が目立ちます。「物価高(インフレ)倒産」は高止まりの水準から抜け出されていません。主因別では「販売不振」が全体の約8割を占め、不況型倒産が深刻です。そして価格転嫁ができずに経営体力を削いでいます。公正取引実現の制度と監視が求められています。

 

(2)2024年度の三多摩地域本部の取り組みについて

1、四役・事務局会議と執行委員会

今年度も、四役・事務局会議は、毎月第1火曜日を中心に開催しました。事務局会議は労働相談の具体的対応を中心に置き、機関紙の発行の相談、組織実務(加入脱退)、財政管理などを相談、また、執行委員会へ向けての取り組みの方針の検討、実践の点検を行いました。

執行委員会は2カ月に1回、第2日曜日を中心に開催し、大会の方針の具体化、実践の場としての会議とし、その間の組合を取り巻く情勢と当面の活動の具体化、日程などを決めてきました。

 

2、働く者の権利を守る労働相談について

昨年度の労働相談

昨年度の労働相談件数は全都15支部で358件(24年4月~25年3月)でした。

三多摩地本では、昨年度電話などでの相談を除き、事務所での聞き取りと具体的対応した労働相談は前年より引き継いだ、6件と今年度の相談31件(24年7月~25年6月)男女別では、男性25人、女性17人(複数での相談あり)でした。

相談者の年齢は、20才代:2人、30才代:2人、40才代:8人、50才代:11人、60才代:7人、70才代以上:8人となっています相談者に寄り添い、解決にあたってきました。

 

相談内容(複数の理由あり)

□解雇・雇止め・退職勧奨:5件、□未払い残業代:8件、□労働条件9件、

パワハラ:8件、□賃上げ:0件、□生活相談:2件、 □その他:2件 

紹介者

組合員:16件  □労働組合等:3件  □市議会議員等:8件

全労連・東京地評、ネット:10件  □元組合員:3件

相談結果・経過は以下の通りです。

□団体交渉などで解決:13件  □助言などで解決:10件  □継続中 3件

他組織を紹介: 3件  □本人都合で中止 5件  □様子見 3件

 

②相談の特徴について

特徴的な、解雇、パワハラの相談が多い事です。相談を聞いていると、未払い残業代の発覚や不当な労働環境が明らかになります。「有期雇用の契約更新拒否」「雇用契約書がないまま、24時間拘束での勤務で、1回14,500円で働いていた。」「マタハラによる体調不良による休業」「会社と10回以上契約を更新している雇止めは無効」など、ほとんどの相談が、不当労働行為。低賃金、長時間労働、残業代の未払いの実態が次々明らかになっています。具体的な相談対応の中で、13人が組合に加入しました。

 

③「朝日生命事件」について

第10回大会以後の労働相談で、特筆すべきは「朝日生命事件」です。生命保険会社大手の朝日生命が、障がい者雇用で雇ったNさんを、その障がい故のパニック発作をおこしたことを理由に解雇した事件です。

すでに、ニュースに掲載し、報告集も発行しましたが、この事件は労働審判まで闘い、勝利的和解で解決しました。Nさんを支援する会も作り、CU本部始め各支部の仲間や、他の労働組合、個人など合わせて100を超える方々の協力も得て闘いました。

私たちはこの闘いから、働き続けるための合理的配慮の対象である障がい者が、障碍を理由にいとも簡単に切り捨てられているという事実を知りました。そして、この闘いで、障碍を持って働く仲間のこうした困難を社会化し、職場で本当に働き続けられるための合理的配慮を求める運動が必要だと認識しました。

障がい者の問題は、一般企業で働く仲間だけでなく、就労支援施設で働く仲間からの相談も寄せられますが。労働者性が問題となり、相手方が団体交渉に応じないという問題もあります。障がい者の働く権利を守るための取り組みが今後も求められていることが明らかになった事件でした。

※主な相談から

過酷な警備業務の中、会社に言っても改善されない

6年前、ハローワークで求人票を見て、勤務先が自宅から近いことから、会社で面接し勤務を始めた。雇用契約書がないまま、24時間拘束(労働条件通知書は朝9時から月の日の朝8時59分まで。実態は、朝7時30分ごろからの勤務。)での勤務で、1回14,500円で働いていた。退職者が続き、自分が一番古くなり、人がいない中、勤務表を作らされ、現場の責任を取らされている。5年間、雇用契約書がないまま、6年目の今年。1年間の労働時要件通知書が送られてきた。社会保険も雇用保険もない。今回から24時間勤務(休息720分)で、1日勤務で、15,000円となっているが実態とは勤務時間違う。夜勤のみは17時から朝の9時までの14時間勤務(休息585分)で日給8,000円。人が辞めて、謹務が過重。今は、月2回ぐらい、夜勤勤務の後、連続で24時間の勤務に月2回ぐらいはいらざる得ない、状況。会社に言っても対応してくれない。団体交渉で、未払い賃金、雇用保険加入、交通費を遡って支給し解決。

 

◎マタハラの相談 

今年の4月に妊娠がわかり、勤め先に報告、相談したところ本人の意思を無視し、妊娠を理由とした、車庫待機を命じられた。それによって、収入が減少、給与は、手取り30万から、10万に激減した。精神的なストレスから今月に入って、適応障害の診断を受けた。

団体交渉では、①マタハラによる体調不良による休業補償。②2023年11月の労災事故による休業補償社会保険による休業申請。③未払い賃金問題。技能残業手当は、基本賃金に入らないため、最賃違反。④出退勤、休息時間歩合給などの計算根拠等を要求しました。会社、顧問弁護士交渉し解決となった。

 

◎「雇止め」を通告の相談

2021年5月入社、雇用形態は3カ月単位の契約社員12回更新。22年10月中旬頃から有休休暇の消化の件でやり取りがあり、直属の上司とのトラブルが起きていた。「殺すぞ」という言葉がラインで来たこともあった。5月28日本社に呼び出されこの問題で改善案が出されるのかと思っていたところ、5月末で「雇止め」を通告された。団体交渉を行った。その後、弁護士より、解雇の撤回と金銭解決へ向けて相談があり解決となった。

 

◎「業務請負契約書」の名による労働での怪我は労災

Aさんは組合に加入し、会社と団体交渉をおこないました。回答書には、顧問弁護士と相談した結果、Aさんとは「請負契約を締結」したもので、「今さら事実を曲げて労災保険を適用させて、保険金を請求することはむしろ詐欺罪に誰何される可能性があると指摘されましたので、そのようなことはお断りします。」とありました。

「業務請負契約書」は、「請負代金」の名目で、1年間で360万円、月30万円。1年間の就業日数である、「搬入日」は257日。「就業時間」は、8時15分から、17時15分まで。休息は12時から13時までと指定されています。これは、1日8時間、年間2,056時間を指定して拘束する意味であり、仕事の依頼や業務指示への諾否の自由が生じる余地はありません。また、報酬も労働時間を基礎として計算されており、生活保障給としての性格は会社の他の社員と特段異なる点は無く、まさに労働者と言えます。立川労働監督署より労災の認定がされました。

組合員に心を寄せ、解決にあたってきました。非正規雇用が4割の時代、賃金は、最低賃金に張り付き、労働環境の悪化が続きます。

 

3.組織拡大の取り組み

CU東京の24年秋の月間の特徴11~12月を本番とし6%を基本に、110人の目標設定。また、25年春の月間をとりくみ6月29日は、1900人に達しました。前回大会比100人増の前進です。結成以来16年間、減少せずに増え続けている労働組合は貴重な実践です。仲間の努力、周囲からの注目と期待、存在の重要性が反映しています。

三多摩地本も秋の拡大目標を19人とし取り組んでいましたが、14人の加入。春の拡大目標は、22人に対して、17人の加入でした。三多摩地本の6月末現在の組織人員は318人となっています。

組合員の拡大は、労働相談を通じての加入が多く、新たな組合との接点の拡大、取り組みが求められています。一方、これまでのCU三多摩での労働相談によって、未組織労働者には労働組合が必要との確信を与えるものであり、今後の組織建設の展望についての具体化が必要です。

あらためて、組合員拡大を組織の中で位置づけ、未組織労働者の組織化への協力と財政支援など、多くの組合員と支援者にも伝え、取り組みを進める必要があります。

 

4、学習を力に

三多摩地本として、今年度も学習を重視して取り組んできました。

2024年11月5日の執行委員会で、八王子合同法律事務所の白神弁護士から「朝日生命事件の訴訟と障がい者雇用についてたたかいの意義について」、講演と激励を頂きました。

2025年新春執行委員学習会を1月19日、講師に都留文科大学名誉教授の後藤道夫さんをお呼びして『「労働現場の状況を踏まえての運動方向への問題提起」について』の学習会を開催しました。

3月9日(日)の第3回執行委員会では、福田かづこ副委員長を講師に、「朝日生命の障がい者雇止め(朝日生命事件)を闘って」と題した学習会を行いました。

 

5、1月19日「朝日生命の障がい者雇用事件の勝利集会と旗開き」を開催

朝日生命の障がい者雇用事件の勝利和解報告について、北村書記次長より報告と本人よりお礼と報告がありました。労働相談解決者の報告など40人近くの参加でした。

宮田委員長が新年の挨拶、来賓として、佐藤本部委員長、三多摩労連、八王子合同の尾林弁護士、塚本弁護士、東京土建日野支部、多摩西部支部、前進座、共産党吉良参議院議員、原都議会議員、宮本前衆議院議員の参加と挨拶、前進座の黒河内さんが「ういろう売り」を披露していただきました。

 

6、昨年度も八王子合同法律事務所の協力を頂きました

労働相談の事案は3・4人のチームで担当を組んで本人を交えて聞き取り・協議をして取り組み方針を決め、全ての事案を四役・事務局会議で報告し、全体で相談内容を共有しています。

昨年度も、八王子合同法律事務所の塚本弁護士には毎月四役・事務局会議に参加していただきました。相談事案の検討や判例、法的根拠などご指導を頂きました。また、今年6月より、三宅弁護士に四役・事務局会議に参加をただいています。

今後も引き続き八王子合同法律事務所や三多摩法律事務所、武蔵野法律事務所などとも協力を求め、懇談などを進めます。

 

7、相談員体制と事務所当番について

現在、相談体制は11人で行っています。3~4人体制での相談員の対応は、相談者の気持ちに配慮をし、要求の聞き取りと聞き取った内容や資料に基づく要求内容の整理や計算を行うなど、交渉前での準備も十分行い、相手側との交渉でも相談者の要求に基づいた主張を貫くなど充実した対応を行っています。当番体制も相談員の皆さんの協力

日常的にいつでも対応できる体制の充実について、三宅副委員長の協力のもと事務局の当番日の水、金曜日以外の月、火、木曜日について、事務所相談受け入れ態勢をつくることができました。事務所の携帯電話も窓口をお願いしています。

 

8、ホームページの活用方法と宣伝の取り組み

ホームページはA副委員長の協力のもと、組合の取り組みや労働相談の内容が発信され活用され、メールでの組合加入申し込みも来ています。相談者や相手企業からのアクセスも増え、今年1月より6月までに、9000件となっています。組合でのさらなる活用が求められています。今後も、改善し労働相談など現状を知らせ、SNSやツイッター、フェイスブックと連携させ情報を流すことが重要であり検討が求められています。

駅頭宣伝は「全国一律最低賃金制と1500円への引き上げ」を目指して、昨年10月の執行委員会前に、国立駅頭での集中宣伝行動を取り組みました。

 

(4)組合員の結びつきを強化する取り組み

1,機関紙活動の強化について

現在、CU三多摩地本にとって、機関紙活動は組合員と組合をつなぐ重要なパイプとなっています。定期的な集まりを持たないことから、団結や連帯をつくる事が難しい中、機関紙の役割はますます重要になっています。機関紙の内容については機関会議で必ず討議し、労働相談の事案を必ず掲載するようにしています。そして、組合員に役割を伝えています。

担当者の努力と奮闘で昨年度も支部機関紙「CU三多摩ニュース」と本部機関紙「こみゅーと」とセットで毎月組合員へ郵送することができました。三多摩地本機関紙も4頁だてにし、内容の充実を図っています。

郵便料金の値上げもあり、ニュースのメール配信への切り替えを進めています。引き続き取り組みを強めていきます。

 

  • 組合員の交流と地域の取り組み

組合員の交流や様々な地域イベントは十分取り組めていません。分会づくりは、地域に影響力を持ち、地域との協力関係をつくるうえで重要な意義を持ちます。また、分会づくりは活動する組合員を増やす役割も持っています。引き続き、様々な地域での分会づくりに取り組む必要があります。

多摩稲城分会は分会会議の再開、駅頭での最賃とCUの宣伝行動に取り組みました。  年末には労働相談会を再開しました。現在、総会の準備をしています。

清瀬東久留米分会も労動相談、メーデーに向けての前夜祭への組合員に呼びかけを行ってきました。今後の取り組みり具体化を進めています。

CU三多摩地本恒例、お花見交流会を今年も都立小金井公園で行いました。参加は20数人。 八王子合同法律事務所から尾林弁護士、新人の三宅弁護士や前進座の小林さん、塚本弁護士と家族、組合のニュースを見ての組合員の参加もあり、持ち寄った手料理に舌鼓を打ち、お酒を楽しみ、大いに楽しみました。小金井公園は桜が満開。たくさんのグループも桜を楽しんでいました。

また、前進座の10月と5月公演が開催され、観劇活動に取り組みました。

 

(5)行委員会と事務局体制の強化

執行委員体制は徐々に高齢化も進み新しい人材が必要です。女性執行委員も引き続き増やすことを目指しましたが、進んでいません。組合員の中に埋もれている人材を掘り起こす努力をさらに強めることが必要です。

 

(6)いのちと暮らしを守る運動

①5月1日第96回メーデー 

中央メーデーは代々木公園で開かれ、主催者発表で1万4000人が参加。三多摩メーデーは、井の頭公園西園で開催し、CU三多摩は役員を中心に15人が参加しました。労働環境を良くしたい、賃上げを勝ち取りたい、自民党政治を終わらせたいという願いの強さを感じさせる集会でした。集会後のパレードでも「憲法9条改悪は許さない」などのスローガンを沿道の人々に訴えながら行進しました。

 

②5月3日第11回憲法集会 

憲法施行から78年を迎えた3日、憲法を守り生かそうと全国各地で集会やデモが行われました。東京では「未来は変えられる!戦争ではなく平和なくらし!2025憲法大集会」(同実行委員会主催)が有明防災公園であり、晴天のなか約3万8000人(主催者発表)が参加。ステージに上がった5党・会派の代表とともに「LOVE憲法」などと書かれたプラカードを掲げてアピールしました。

 

  • 2025年三多摩国民春闘勝利総決起集会

低賃金と物価高から生活守るため、大幅賃上げ・底上げを!すべての労働者に10%以上の賃上げを!を掲げ、2025年2月20日、小金井宮地楽器ホール にての決起集会には、350名参加。内、東京土建が210人。ご苦労様でした。CU三多摩から6人が参加しました。