業務委託で働くAさん―早期解決

実態は労働者、社長が団交受け入れ

 Aさんは業務委託契約で会社指定業者の小荷物宅配業務に従事。長時間労働の上、本来の契約にはない荷積み前の商品整理にも1~2時間の労働をさせられた事で、解約を申出ました。ところが会社は、配送用の軽トラックのリース期間が残っているとして、未払いリース料の支払いを求めてきました。

 Aさんは、①リース料の支払いの停止②求人内容と異なる報酬差額の支払いを求めたい、と組合に相談。組合は、Aさんの働き方は、形式は業務委託契約だが、実態は労働基準法上の労働者であり、リース代も支払い義務はないと主張できると判断。しかし、使用者側との主張が食い違い、長期戦になることが予想されました。

リース料問題を優先解決することを提案

 組合は早期解決を目指す立場で「労働者性」の問題は保留し、業務委託を前提としてリース代と報酬の差額、契約にない荷積みの準備作業に対する対価について解決を求める交渉をする事を提案。

 第1回目、会社はリース料について、Aさんも同意の上で契約したものであり、契約に基づき残りの金額を支払うのは当然と主張しました。組合側は、委託契約書やリース契約書の内容が会社に都合よく、労働者側に一方的に不利なこと、実態として軽トラックはAさんの退社後も会社に引き継がれるので、残余期間の全額をAさんに求めなければならないほど、会社側に実損はないと主張。交渉の過程でAさんの意向も確認し、リース料問題を優先解決するため、他の要求額を引き下げた再提案をして解決を求めました。会社は翌日、リース代については了解する。報酬差額について要求額の再調整を求めたい旨を回答。組合はAさんと、最大の要求が確保できた事を確認し、差額等については会社の意向も踏まえて解決金での合意解決としました

前の記事

労働局のあっせん調停で解決

次の記事

退職時の年休消化、職場で初