働く者のための「労働法連続講座」第5回

『懲戒処分、損害賠償』

労働法講座の第5回は『懲戒処分、損害賠償』がテーマ。写真は講師の白神優理子弁護士です。

 白神弁護士は冒頭、使用者による懲戒処分が有効になる場合として、企業秩序の遵守義務は労使双方にあると説明。しかし、一方で労働者の不利益を受けないという権利もあり、バランスが大事とも。以下講義の内容を要約します。

Ⅰ懲戒処分について

1、懲戒処分を受けたと相談があったら

 まず①雇用継続中であること(退職後の懲戒処分は無効)。②懲戒の種類と理由の規定が労働協約や就業規則に定められていること(懲戒処分の通知は書面で受け取ること)。③上記の規定が周知されており、内容が合理的であること。④規定にある懲戒理由であること(デッチアゲでないこと。無実を証明する手立てを講じておくこと)。⑤懲戒権の濫用でないこと等を確認する。

2、懲戒の種類

 ①戒告・けん責は始末書の提出だが、相談を受けたら経済的不利益を被っていないかを確認する。②減給は限度がある。一回の額が平均賃金の一日分の半額以下、総額が一か月の賃金の10分の1以下であること。③出勤停止、長期間に及ぶときは有効性が厳しく判断される。④降格(役職、職位、職能資格を引き下げ)、減給の可能性も。⑤諭旨解雇とは退職を勧告し、退職願を提出させ解雇する。しかし、退職願いを出していても、処分の有効性を争うことは出来る。⑥懲戒解雇は30日前の予告が必要。これを怠れば解雇予告手当の支払い義務が発生する。

3、懲戒処分の有効要件

 ①雇用継続中であること。②懲戒の理由、種類が規定されていること。③規定が周知され、内容が合理的であること。④規定に該当する懲戒理由があること。限定解釈、後付けはダメ。相談を受けたら、真っ先に根拠・理由の確認をすることが重要。⑤懲戒権の濫用でないこと(a後に決まった懲戒事由の適用や一度処分を受けたことへの再処分はダメ。b平等な取り扱いが行われること。c処分の重さが相当である。d本人の弁明など手続きを踏んでいること。e処分には時間的制約がある。時間が長期に経過した処分は有効性が認められない。

Ⅱ損害賠償について

1、違約金の定め・損害賠償の予定の禁止

 労契法16条は、労働契約期間内の退職の場合の違約金や損害賠償について、あらかじめ決めることを禁止。労働者の退職の自由を確保。

2、研修費用の返還

 ①退職の自由を奪う研修費用の返還請求は認められない。②違法性の判断基準は、a研修受講は労働者の自由意思か。b業務と密接に関係しているか。c研修終了後の拘束時間と返還額が妥当か。③研修が社命で、業務にも従事した場合は請求否定。しかし、労働者側のメリットが大きい時は請求肯定。

3、仕事上のミスを理由とする損害賠償

 ①賠償義務は発生しない。②通常求められる注意義務を尽くしていれば日常的に発生する損害の賠償義務は発生しない。③労働者に責任がある場合でも全額に及ぶことは無い。④損害賠償と賃金の相殺はダメ。⑤損害賠償義務が認められても退職の自由は制限されない。

≪質問タイム≫

 質問タイムでは、飲食店のバイトで皿を割っても、通常起こりうることであり、損害賠償義務はない。飲食の配達バイトで交通事故を起こし、バイクの損傷でそのバイトの全額を賠償させられたがそれは違法など、具体的に学びました。

 次回第6回講座

テーマは『普通解雇、懲戒解雇』

6月17()、午後1時半~4時 北多摩西教育会館(CU三多摩事務所3階)お忘れなく。新規参加も大歓迎です。組合事務所へTELをください。

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